いぬねこトークのアイコン いぬねこトーク「ねこ育て日誌~町蔵と私~」 

その3.「眠る子猫に眠れぬ私」

ねこ育て日誌

保護したその晩、子猫の町蔵はキャリーの中でコトリと眠りにつきました。

まさに眠りにつこうとしている町蔵

まさに眠りにつこうとしている町蔵。遊んでいたのが、ふっとこんな感じに動きを止めると、ハタリと眠ってしまいます。

それを見届け、にわかに弱りそうな様子もないことに安心して、保護以来の緊張もとけた私も、すぐさま熟睡したのでした。

が。
熟睡もつかの間、「みゅー、みゅー」という声にはっと目覚めてキャリーを見ると、町蔵はもがき出ようとばかりに、キャリーの扉の格子に顔を押し付けています。

私は起き出して、「やめとけ、顔に筋がついちゃうぞ」と声をかけつつ、枕元にのせていたキャリーを床におろしました。そして、子猫用フードを皿に盛ってきて、その前に置きました。

町蔵が使っていたキャリー

画面から切れているのですが、これが町蔵が入っていたキャリー。前面の格子部分が扉になっていて開閉します。
中にペットシーツを敷き、水入れを入れてあります。眠るときはこの中に入ってもらっていました。

キャリーの扉を開けると、町蔵は格子を押すようにしながら出てきて、猛烈な勢いでフードを食べ始めます。夢中すぎて訳が分からず、前回の食事のとき同様、また皿の縁をかじっています。私は「そこじゃなくてごはんはこっち」と、町蔵の顔を指先で押して方向を修正しつつ、食べるのを見守りました。

フト、時計を見ると午前2時前。眠りに就いてから3時間と過ぎていません。

勢いよくご飯を食べる町蔵

キチャナイ写真で失礼。なぜか、食べている周辺だけでなく、その真後ろの背後までフードが飛び散っています。どういう食べ方をするとこうなるのでしょうか。

子猫だもんね。一度にちょっとしか食べられないから、こういう食べ方するのはしょうがない。まあ何にせよ、食欲があるのはいいことだし。

―― そう思いつつ、キャリーの中のペットシーツを確認すると、一箇所濡れていました。
「そーか、おしっこ出たか」とシーツを交換し、満腹してフードの皿に興味を失った町蔵をキャリーに戻し、またベッドの枕元に置きました。

そして私もベッドに横になり、キャリーの扉を開けて、中に手を入れてしばらく町蔵を撫でてからキャリーの扉を閉め、町蔵が眠るのを見届けて、私も眠りに就きました――。

――と、またしばらくすると、安らかに眠りの淵に沈む私の耳に、微かに聞こえる「みゅー、みゅー」の声。
眠りの淵から覚醒の岸辺にようよう浮かび上がって、どうにか目を開けると、キャリーの入り口の格子を通して、こちらを見ている町蔵の目がありました。

時計を見ると午前4時過ぎ。私はモーローとしながら起き出し、2時間ほど前と同じ行動を繰り返しました。今度はペットシーツは濡れていず、モーローとする頭で私は、「そういえば、こいつまだうんちしないけど、大丈夫だろうか?」と考えていました。詰まっていたら問題じゃなかろうか、と心配になります。

そこで、フードを食べ終えた町蔵を捕まえ、アルコールをしみ込ませた脱脂綿で、肛門周辺をぽんぽんと軽くたたくように刺激を与えてみました。町蔵を診てくれた獣医のM田先生は、「そこまで小さくないから、排泄は自分でできるでしょう」とおっしゃっていたのですが。
町蔵はそれでちょっとおしっこはしたものの、うんちはしません。そして、「いやーん」というように体をもがくので、私は町蔵を放し、またキャリーの中に入れ、同じく「大丈夫だよー」と声をかけながら眠り――。

食欲旺盛こんなものもかじる

食欲旺盛のあまり、私のシャツの裾を食べようとしているところ。というのはウソですが、本当によく食べます。

目がトロン

でも子猫だから、食後はすぐ眠くなってきます。こんなふうに目がとろんとすると、まもなく眠ってしまいます。

――そしてまたしても、「みゅー、みゅー」という声で起こされたのは、早朝6時前。青い空が眩しいほどでしたが、対照的に私の頭はどんよりと曇っていました。

私はいわゆる「ロングスリーパー」です。連続した長い睡眠時間がとれないと、それだけで身体活性・精神活性とも、ガタ落ちになります。特に覚醒前の早朝の眠りが確保できないと、その一日中、心身共にどうにもキレがありません。
そんな私はフリーランスで仕事をし、毎日早起きして出勤する必要のない立場です。「朝起きないで済むように勤め人を辞めた」と冗談混じりに言うことがありますが、それは実はかなり真相に近いのです。言い訳めいていますが、親譲りの体質だからどうしようもありません。(因みに、父も勤め人ではありませんでした)。

食後に遊ぶ

食後に遊んでいるところ。目ぢからと爪の鋭さは、既にイッパシの猫!
指の間から見えている、満腹でぽんぽんのおなかが、対照的にのんきで、ほほえましいですね。

遊んですぐ眠る

……と、遊んでいてもまもなく眠ってしまいます。そもそも猫はよく眠る動物ですが、子猫はさらによく眠り、このくらいの頃は食っちゃ寝、食っちゃ寝です。

そんな私にとってこの一晩は、いきなりのかなり厳しい試練となりましたが、実はこんなものはまだ序の口。後から思えば、眠らせてもらえないのは、この晩に限ったことではありませんでした。

恐るべき子猫パワーによって、安閑とした睡眠生活は、既に破壊されていたのでしたが、私はまだそれに気づかず、このときはただ、町蔵が無事に保護翌日の朝を迎えたことを、喜んでいただけでありました。(続く

保護翌朝の様子

もりもり食べて活力が増してくる子猫の町蔵、保護翌朝の様子。
こんなふうに、動かずに写真を撮らせてくれることは、この後ますます少なくなっていきました。

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蔦谷K

蔦谷K
http://nekokematsuri.blog.shinobi.jp/

生まれたときから身近に居た「猫」をテーマとして、エッセイ、豆本、ハンドクラフト、写真などを製作・発表。
猫をブラッシングして集めた毛が材料のクラフト「猫毛フェルト」を考案し、作り方を紹介した『猫毛フェルトの本』を2009年に出版。同書は好評を博し、台湾、アメリカでも翻訳出版される。その後「猫毛フェルター」として、各地で作品展『猫毛祭り』やワークショップ、猫毛フェルト指人形劇公演などを延べ50回以上開催。
著書に『猫毛愛』(幻冬舎)『猫毛フェルトの本』『もっと猫毛フェルトの本』(以上飛鳥新社)『猫毛フェルト12カ月』(三才ブックス)など。東京都出身。


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