いぬねこトークのアイコン いぬねこトーク「ねこ育て日誌~町蔵と私~」 

その22・最終回 貰われていく子猫の町蔵、ずーっと元気でな!

ねこ育て日誌
こんにちは、町蔵です

みなさま、こんにちは。
ぼく、このおはなしの「しゅじんこう」の「まちぞう」なの。

このおはなしのなかの「きせつ」はいま、「なつ」だから、このおはなしをかいてる「ほごぬし」のツタヤんちには、「ぼうし」がたくさんあったの。

ぼく、「ぼうし」だいすき!とくに「むぎわらぼうし」!つめを「とぐ」ときもちいいんだもん!
でも、ツタヤがぜんぶ「かべ」にかけて、とげなくなっちゃったから、つまんない……。

あ、それで、このおはなし、「こんかい」でおしまいなの。なんだかさびしいけど、みなさま、どうぞよんでね!

「迷惑なお土産」は持っていかないように

ぐじゅぐじゅだった子猫の町蔵を保護して1か月と5日。その朝の目覚めも、先に起き出して私の体を踏んで歩き回る、町蔵によってもたらされました。

起きるのを待つ町蔵

からだふんであるきまわるまえに、おきないかなーとおもって、しばらくまってるんだよ。
ねこより「あさね」って、「にんげんばなれ」してるね。

「ああ、こうやって起こされるのも今日が最後」と思いつつ、起き出して町蔵に猫フードを与えます。いよいよ今日、町蔵を新しい飼い主さんのY岡家に送り届けるのです。

既に町蔵を送り出す準備は整っています。
2日前には獣医のM田先生のもとへ5回目の通院をして、健康状態を看ていただきました。町蔵はずいぶん大きくなったので、通院バスケットは当初より大きいものに変えましたが、それでも通常の猫キャリーに比べるとまだまだ小さいのです。

手前が、当初使っていた通院バスケット。後ろが、大きくなったバスケット

手前が、当初使っていた通院バスケット。後ろが、大きくなったバスケット。

大人の猫と比べると、この大きさ

いずれにせよ、小さいです。大人の猫と比べると、この大きさです。

貰われて行く旨を伝えるとM田先生は、「かごに入る大きさのうちに貰われたね~」と笑顔で町蔵に語りかけます。体重測定をすると940g。当初の3倍以上ですが、1キロ未満のうちに貰われていくことになりました。

様々な投薬もその日で完了、今後は薬なしでOKということになりました。そして最後に条虫の駆虫剤を投与。
町蔵は以前、検便はしましたが、条虫は検便で補足しにくく、有無は確定されませんでした。しかし「あれだけノミがいたんだから」ということで、ノミが媒介する条虫がいる可能性は濃厚です。そこで、「新しいおうちに、そういうお土産は持っていかないほうがいよね」という判断のもと、念のため、駆虫しておくことにしたのです。

関係各位への挨拶も済ませ準備万端

それから、今まで町蔵の貰い手探しで声をかけた先に、貰い手さん決定をメールや電話で知らせました。また、告知していたブログやメルマガでも、貰い手さん決定の記事をアップしました。

すると皆様から、「にゃー! よかったな町蔵、幸せになれよー!」などの心優しい祝福メールやコメントが届き、多くの方が町蔵を気にかけてくださっていたことを改めて感じ、本当にありがたい気持ちになりました。

前日は、好物のヨーグルトをやり、うんと遊んでやって、町蔵の持参品であるキャリーもきれいに磨き、おもちゃも忘れないように用意しました。

「うんと遊んでやって」いるところ

「うんと遊んでやって」いるところ。もう足でも手でも、好き放題かじりなさい。

部屋の片隅に据えられた、段ボール箱内の子猫トイレさえも、明日はもうないのだと思うと、愛おしさすら覚えました。

「うれしいめーる」って?

これが、町蔵コーナー。キャリーの手前に水とご飯がのったお盆。そして、キャリーの後ろ、奥のほうに少し見えているのが、段ボール箱内の子猫トイレの入り口。

そして、いよいよそのときです。
元気いっぱいの町蔵をキャリーに入れて、私は家を出ました。見あげると、8月の終わりの空は、子猫の前途を祝福するかのように晴れています。

貰われる前からかわいがられる町蔵

町蔵の飼い主となるY岡家は、当家から私鉄を乗り換えて1時間半ほど。駅に着き、携帯電話で連絡すると、すぐに母子で迎えに来て下さいました。Y岡さんもお母さんも、笑顔がとても優しい方たちです。

まずは早速、町蔵を、迎える準備をしていただいた部屋の中へ。
キャリーから出すと、町蔵はその場に立って、あたりを見回します。Y岡家にはその昔、ミケという愛猫がいたそうなので、人間にはわからない遠い昔のその猫のにおいを、町蔵は感じたりするのでしょうか。しかし町蔵は臆するふうもなく、すぐに歩いて部屋の中を探索し始めました。それを微笑んで見守る、Y岡さんとお母さん。
と、お母さんの眼鏡の奥に、光るものが。あれ? お母さん、涙ぐんでらっしゃる?

部屋の中をちょこまか歩き回る町蔵の様子を見て、しばらく1匹で好きにさせておこうと、人間たちは部屋を出ました。

はれ? ここどこ?

はれ? ここどこ? あたらしいぼくの「おうち」なの?

ちょっとみまわっちゃお!?

ふーん。なんだか、おもしろそう! ちょっとみまわっちゃお!

そしてお茶をいただきながら、町蔵の話をしました。
お二人は口ぐちに町蔵をほめて下さいます。

「町蔵ちゃん、すごくかわいいわ~って言ってたんですよ」とY岡さん。
「かわいいですね。子猫って、みんなかわいいですけどね」と、この場合、こちらが謙遜するのが適切なのかどうか迷いつつ、ぼそぼそと口の中でつぶやく私。
しかし、Y岡さんのお母さんは力強く断言します。
「いえ! その中でもこの子は特別かわいいわ!」
と、写真店で貰ったという子猫の写真が印刷されたうちわを取り出してきて、「ね、この子たちより町蔵ちゃんのほうが、全然かわいいでしょう~」とおっしゃいます。

私はこのやりとりに、「ああもう、こんなにかわいがってもらって、町蔵の幸せは約束されたも同然だ!!」と心中、感涙にむせびました。

新しい飼い主さんに町蔵を託して

これまでの町蔵の様子、健康状態や生活状況、食べ物などをお伝えし、町蔵の成長を記録した「町蔵手帳」をお渡しします。と、Y岡さんのお母さんが、私にたずねたのです。

「でも、うちに町蔵ちゃんをくれて、ご自分はさびしくないですか?」
ああ、お母さん、それはきかないオヤクソク! などとは言わず、私は、「そうですね。帰りの電車で、ちょっと泣きます」と言って、ニヤリと笑ってみせました。

そして、私は町蔵を託し、Y岡家を後にしました。

へなちょこな私はこの先を平静に書けないので、形式上、町蔵の口を借りて語ることにします。

 *   *   *   *   *

みなさまこんにちは。こねこのまちぞうです。
ぼく、あたらしいかいぬしさんの「Y岡家」にもらっていただいて、きょうからこちらでくらすことになりました。

Y岡さん、すごくやさしいかたたちなの。こねこ、だいすきみたい。ぼくをみるとき、いっつもめがわらってるの。
いれてもらったおへやにも、すぐなれました。

ぼく、べつにこわくなかったけど、ツタヤんちは、べつのおとなのねこのにおいがしてた。でも、Y岡さんちは、そういうにおいはしないの。もしかしたら、ずっとまえにいたかもしれないけど、はっきりとは、わかんない。

これはなんのにおいだろ?

ふんふん…… これはなんのにおいだろ? ねこじゃなくて、にんげんのにおいみたい。

ぼく、こねこだから、すぐわすれちゃうよ

ツタヤがいなくなってから、Y岡さんちのYさんにあそんでもらったり、おかあさんになでてもらったりして、ゆうがた、ごはんもらって、うんとたべた。

そしたら、おとうさんがかえってきて、あそんでくれた。あと、おとうとさんもきて、あそんでくれたの。たくさん「しゃしん」もとってたけど、ぼく、ツタヤんちで「かめら」になれてたから、「こわいもの」じゃないって、しってたよ。

ツタヤんちとちがって、いろんなひとがあそんでくれるから、うれしくなってはしゃいじゃったら、Yさんが、なんだかやさしいおと(「おんがく」っていうの?)をきかせてくれて、それきいてるうちに、ねむっちゃった。

「うれしいめーる」って?

このいす、ぼくがすわってていいんだって。「いごこち」いいな~。なんだかねむくなってきちゃった……、ねちゃお……

ぼく、こねこだから、ツタヤのこと、すぐわすれちゃうとおもう。

でも、ぼく、ツタヤもそのほうがいいのしってるよ。
だって、ぼくが「ツタヤ、どこ? いないの?」って、みゃーみゃーないてさがしてるのって、ツタヤは「考えただけで耐えられない」んでしょ。
それよりツタヤのことわすれて、Y岡さんちでたくさんかわいがってもらって、たっぷりごはんたべて、どんどんおおきくなればいいんだよね。

でも、ずっとおぼえてることもあるよ

でもぼく、ツタヤに「おそわった」ことで、ずっとわすれないこと、あるとおもう。

にんげんの「て」は、ねこをなでたり、ねことあそんだりしてくれるものだってこと。
ねこをぶったりしないってこと。
(「て」はときどきぼくをつかんで、「きゃりー」にいれたりするけど、それは「がまん」してあげる)

にんげんの「こえ」は、「いみ」はわからなくても、やさしいこといってるんだってこと。
(ときどき「こごと」もまじってるの?)
それさえおぼえてれば、いいんだよね?

ぼく、Y岡さんちで、やさしい「て」や「こえ」にかこまれて、うんとたのしく、うんとげんきに、うんとおっきくなるよ。
だからしんぱいしないで、ツタヤもげんきでね。

ありがと。さよなら!

みなさまも、ぼくのこと、「みまもって」くださって、ありがとう。
これまでよんでくださって、ありがとう。
みなさま、じゃあね、ごきげんよう!

(ねこ育て日誌 町蔵と私・完)

>>その21  「ねこ育て日誌」記事一覧  番外編その1.


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