いぬねこトークのアイコン いぬねこトーク「ねこ育て日誌~町蔵と私~」 

その14. 子猫を連れて、お盆に帰省してみれば(後編)

ねこ育て日誌
こんにちは、町蔵です

う~ん、むにゃむにゃむにゃ…

きょうは、おひるねしたままでしつれいするね。
ぼくもねこだから、たくさんねむるの。
それで「寝る子は育つ」なんだよね、どんどんおおきくなってるんだよ!

ぼくはツタヤの「じっか」にいって、かぞくのひとはみんなねこがすきなんだけど、じゃあどうして「じっか」でぼくをかわないのか、きょうはそういう「じじょう」のおはなしなの。

先住猫の黒猫「ち」を気遣う

お盆で帰省した私の実家。
そこは猫好きばかりの家なのに、なぜ町蔵を飼うことができないのでしょうか。

実は、実家には先住猫がいるのです。「ち」という名の黒猫で、もとは私と一緒に、一人と一匹で暮らしていました。それがゆえあって、現在は実家にいるのです。

実家の先住猫「ち」

実家の先住猫「ち」。全身真っ黒で、耳は大ぶり、しっぽが長く、ほっそりした猫です。性質は怖がりで、一匹では眠れない甘えたさん♪

この黒猫「ち」が、臆病で「びびり」な猫なのです。
私も、「ち」の性質は知っているので、できるだけさりげなく町蔵と引き合わせたかったのですが、帰省して、玄関を入るとそこに「ち」がいたのでした!
そして、私が下げていたキャリーの中の町蔵を見て目をまん丸にし、そのままぴゅーっと逃げてしまったのです。

「ち」に気を遣い、私はすぐさま町蔵を2階の1室に入れました。そして、そこから出さないようにして滞在していたのですが、「ち」は町蔵の到着以来、滞在している間ずっと、2階の他の部屋に入ることはおろか、階段すら上がって来なくなってしまったのでした。

物陰に隠れると、どこにいるのか分からなくなってしまいます

真っくろ黒猫の「ち」は、物陰に隠れると、どこにいるのか分からなくなってしまいます。そんなところも狩りには有利なのでしょうか、甘えたさんなのにハンターとしては有能。折々に様々な獲物を運んで来て、家族を阿鼻叫喚の渦につき落とす猫でもあります。

まだ小さくて、人見知りや猫見知りをしない町蔵のほうは心配ありません。しかし、母や叔母の愛情を一身に受けて、静かにのんびり暮らしていた「ち」にとって、町蔵の存在は大きなストレスになるでしょう。私は「ち」のことも愛しているので、彼女に負担をかけるのは心苦しいのです。

時間をかければ2匹の折り合いも良くなって、案外うまくいくかもしれませんが、しかし問題はそれだけではありませんでした。

その問題とは……

「子猫をよけきれず転倒!」も心配

先住猫以上に心配だったのが、実は人間のことでした。

実家は、いつもは母と叔母の老人二人暮らしでした。彼女ら、特に叔母は猫や犬が大好きなので、町蔵もかわいくて仕方ありません。

しかし、叔母は病み上がりで、足元がおぼつかないのです。それが心配でした。
一時的な帰省ならいいですが、実家で飼うとなれば、町蔵をいつまでも一室に閉じ込めておくわけにはいきません。小さくてすばしこい町蔵が、家の中を跳ね回り、興奮して叔母の足元を駆け抜け、よけようとした叔母が転倒、なんてことは、大いに起こり得ます。その上、町蔵が転倒した叔母につぶされて……! なんてことは、考えただけでも悲しすぎます。両者にとって大変な不幸です。

おとなしく、何をしても結構「されるがまま」な猫

「ち」は割とおとなしく、何をしても結構「されるがまま」な猫。以前、「黒一色の毛並みってときどき飽きるなー」と思い、フェルトを切り抜いて「付けまだら」を作って体にのせてみたときも、おとなしくそのまま写真を撮らせてくれました。

そして、理由はまだありました。それは…

先住亀との折り合いは心配ない

実家には、猫と人間以外にも生き物がいるのでした。
それは、亀です。

腕と比べてこのくらいの小ささ

黒猫「ち」と亀。
あまり動きがないのでつまらないのか、ハンターである「ち」は、亀をときどき確認はするものの、基本的には亀とは没交渉です。
因みに母と叔母はこの亀を「カメ子ちゃん」と呼んでいましたが、実のところ、性別は不明。

しかし私は別に、この先住亀と町蔵の折り合いを気にしているのではありません。

この亀は、母や叔母が好き好んで飼っているわけではなく、兄が実家に連れて来たものです。

数年前のとある深夜、自宅への道を歩いていた兄は、路傍に落ちていたこの亀を見つけ、そして拾って飼い始めました。なぜ兄がそこで素通りせず、わざわざ拾い亀をしてしまうのかはわかりませんが(それ以前に、なぜ路傍に亀が落ちているのかもわかりませんが)、昔から多くのいきものを飼い、人間よりもそれらとのほうが心通わせているように見えた兄でしたから、彼にしてみれば拾い亀というのは当然の行為だったのかもしれません。

ところがそれから兄にもそれなりの大人としての紆余曲折があり(家庭の事情なので詳細略)、生活環境が変化。兄はその環境は亀にとって良くないと判断し、実家に亀を託したのです。
特に好きでもない亀を押し付けられ、母も迷惑だったでしょうが、それでもしぶしぶ引き受けました。その時、母はこんな文句を言いました。
「そうやってあんたが世話できなくなると、結局はお母さんが世話しなきゃならないんじゃないの」

このセリフは、小学生のころも聞いた覚えがあります。私たちきょうだいが拾ってきた猫、飼い始めた金魚。「必ず自分で世話するから」という必死の懇願と共に我が家にやってきたそれらのものたちは、結局はいつのまにか、母が世話する破目になっていて、そういう折に発せられた言葉です。そしてこの言葉はたぶん、うちだけでなくいろいろな家庭で、現在もお母さんが子供に言っていそうです。

いい年して小学生のような小言を言われる

いい年して、そんな子供が言われるような小言をもらう兄を、そのときは、「やーい、小学生のころと同じこと叱られてやんの♪」と揶揄してやったのでしたが、今回私が町蔵を実家に託したら、「お前も成長ねえな~」などと言い返されそうで、それが悔しいのです。(←こういう口喧嘩が既に「子供か!」なわけですが)。

おまけに、町蔵を連れていった時点で、子供に言われるような小言を、私も母から言われていたのでした。
「そうやってすぐ、捨て猫とか拾いに行くんだから」と。

しかし、それは正確ではありません。きっちり説明しておく必要があると思って私は言いました。
「言っとくけど、私だって別にわざわざ多摩川の河原に行って、落ちてる段ボール箱を開けてみるようなことはしてないからね。おとなしく仕事してたら、うちの前でみきゃみきゃ鳴くんだもん。あくまで、こっちが行ったわけじゃなく、向こうから来たんだから、そりゃーしょうがないでしょうが」

そして、私にも幾分かの成長があります。捨て猫のために何もしてやれずに泣いた子供のころとは違うのです。うちに置くにせよ貰い手を見つけるにせよ、とにかく町蔵の幸せのために責任を持てる覚悟と能力は、今は持っているつもりです。

「ぜったいお前幸せにしてやる」
と、何の不安も無さげに私の手とじゃれ遊ぶ町蔵の柔らかな毛並みの感触を感じつつ、決意を新たにした、実家での私だったのでした。(続く)

きょとんとした表情の子猫町蔵

私の決意など知らぬげな、きょとんとした表情の町蔵。実家の夏掛けの麻布団の上で、楽しそうに転げていました。

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蔦谷K

蔦谷K
http://nekokematsuri.blog.shinobi.jp/

生まれたときから身近に居た「猫」をテーマとして、エッセイ、豆本、ハンドクラフト、写真などを製作・発表。
猫をブラッシングして集めた毛が材料のクラフト「猫毛フェルト」を考案し、作り方を紹介した『猫毛フェルトの本』を2009年に出版。同書は好評を博し、台湾、アメリカでも翻訳出版される。その後「猫毛フェルター」として、各地で作品展『猫毛祭り』やワークショップ、猫毛フェルト指人形劇公演などを延べ50回以上開催。
著書に『猫毛愛』(幻冬舎)『猫毛フェルトの本』『もっと猫毛フェルトの本』(以上飛鳥新社)『猫毛フェルト12カ月』(三才ブックス)など。東京都出身。


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