肉球 いぬねこ先生通信「ワクチンに関する基礎知識(前編)」

ワクチンについて学ぼう

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獣医師岩崎脩先生

まだまだ寒い日が続きますが徐々に気温も高くなり、春の足音が聞こえてくるようになりました。これからやってくる春は通常、動物病院が一年で最も忙しくなる季節です。

フィラリアの予防(猫ちゃんもフィラリア症にかかります)、ノミ・ダニの予防、ワンちゃんであれば狂犬病の予防、それから混合ワクチンの接種も春に、という方も多いと思います。

そこで今回はワクチン接種の重要性や注意点、一生を通じたワクチンのスケジュールなどについて解説します。

そもそもワクチンって?

ワクチンは病気にかかる前に動物の体に抵抗力をつけておき、感染しても発症しないように、また万が一発症したとしても重篤化しないようにするのが目的です。

ワンちゃんやネコちゃんの感染症の中には、発症すると致命的なものもあります。なかには人間にも感染するものがあり、それを『人獣共通感染症』と言います。動物病院には様々な子が来院しますので院内感染の防止という目的もあります。ワクチンは動物もヒトも守るために必要なものなのですね。

ワンちゃんに受けてほしいワクチン

ワンちゃんに受けてほしいワクチンは主に狂犬病ワクチン(義務)と混合ワクチン(任意)です。

狂犬病は『人獣共通感染症』のひとつ、発症すれば100%死亡するという恐ろしい感染症です。日本は数少ない清浄国ではありますが、『狂犬病予防法』という法律で自治体にワンちゃんの登録を行うことと、毎年の定期予防注射を行うことが義務づけられています。

一方『混合ワクチン』はその名のとおり、何種類かのワクチンを組み合わせたものです。混合ワクチンの代表的なものは以下のようなものがあります。

  • ・ジステンパー
  • ・犬パルボウイルス感染症
  • ・犬伝染性肝炎
  • ・犬伝染性喉頭気管炎
  • ・犬パラインフルエンザ
  • ・犬レプトスピラ病
  • ・犬コロナウイルス感染症
  • ・ボルデテラ感染症

ワンちゃんに流行りやすい病気や死亡率の高い病気から守るために、これらのワクチンが組み合わされており、種類も非常に多くあります。

ワクチン接種

ワクチンというと注射のイメージが強いですが、なかには鼻の穴から投与するものもあります。写真は仔犬がかかりやすい病気である『ケンネルコフ』を予防する鼻粘膜投与ワクチンです。

猫や犬も風邪を引くの?猫カゼ、ケンネルコフについて >>

混合ワクチンの必要性

では混合ワクチンの必要性について3つの時期に分けて考えてみましょう。

【子犬期】
赤ちゃんは体力がなく免疫も発達していないので、感染症にかかると症状が重くなりやすく、場合によっては命を落としてしまうこともあるため最も警戒すべき時期です。

分娩後、数日間の母乳(初乳)には多くの免疫成分が含まれていて、母親から免疫を譲り受けます。これを『移行抗体』といい、4~8週齢はこの免疫が多くの感染症から守ってくれます。

この移行抗体が残っている間にワクチン接種をしても十分な免疫効果を得ることはできません。そのため多くの子犬は移行抗体の影響が少なくなってきた6〜8週齢に1回目のワクチン接種をして、その後確実な免疫力をつけるために1~2回の追加接種を行います。

【成犬】
感染症の危険はどこに潜んでいるかわかりませんので、大人になってからも定期的なワクチン接種がすすめられます。散歩中のにおい嗅ぎや散歩後に手足を舐めることでいつ病原体が体に侵入するかわかりません。飼い主さんが他の動物と接触することで感染症を持ち帰ってしまう可能性もあります。ただしアレルギー体質があったり妊娠している場合はワクチン接種を受けることができません。

【シニア期】
『年をとっているからもうワクチンは必要ない』ということではありません。ヒトでも高齢の方ほどインフルエンザなどの感染症に気をつけているように、年をとって免疫力が衰えてしまうのは動物も同じです。

ウイルス性疾患が流行する前の10月〜11月頃にワクチン接種をすすめる病院もあります。春と秋に診察の機会をもつことで病気の早期発見にも役立つかもしれません。もちろん健康でないとワクチンの接種はできないので、体調をみて獣医師とよく相談しましょう。

次のページで、ワクチンを接種するにあたっての注意点をお話します。

ワクチン接種の注意点 >>


獣医師岩崎脩先生

協力:
昭島動物病院(東京都昭島市)
獣医師 岩崎 脩 先生
http://www.aaho.jp/

動物と飼い主様のより良い信頼関係の構築に貢献できるような情報を提供していきたいと思います。


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