いぬねこお役立ち情報 脂肪肝「肝リピドーシス」

猫の食欲不振や黄疸に要注意!脂肪肝「肝リピドーシス」の危険性について

西原先生

犬や人間にはほとんど見られず、猫だけに多く見られる病気に「肝リピドーシス」というものがあります。肝臓に脂肪が蓄積する、いわゆる「脂肪肝」になってしまう病気なのです。

どんな猫でも発症する可能性がある病気で、治療が遅れた場合には命を落とす危険さえあります。今回はそんなやっかいな病気「肝リピドーシス」についてお伝えいたします。

脂肪肝「肝リピドーシス」とは

肝リピドーシスは、体の代謝に異常が生じ、中性脂肪(トリグリセライド)が肝臓に蓄積してしまう病気です。人間や犬では、遺伝性のものや生活習慣病として知られていますが、猫の場合、実は生活習慣病よりももっと身近な原因で発生することがあります。それは「食欲不振」による肝リピドーシスです。

脂肪肝「肝リピドーシス」の症状

【食欲不振】

「食欲がないなあ、でもそこまでぐったりじゃないしもう少し様子を見よう」と1〜2日ほど様子を見てしまうと、それだけで肝リピドーシスを発症させてしまう可能性があるので要注意です。

【黄疸】

猫の黄疸は、眼球結膜(白目の部分です)や皮膚の白い部分(耳たぶやお腹)が黄色く変化する病態です。黄疸が見られた場合は、かなり病気が進行してしまっている可能性があるので注意が必要です。

猫 耳

脂肪肝「肝リピドーシス」が発症する原因

肝リピドーシスは、食欲がなくなり、食事をとらなくなるだけでも発症してしまうことがあります。通常、人間や犬は数日間の絶食状態が続いても、肝リピドーシスになることは滅多にありません。しかし猫の場合、24時間から48時間、つまりたった1〜2日の絶食状態になるだけで、肝リピドーシスの発症リスクを高めてしまうと言われています。

脂肪肝「肝リピドーシス」の検査について

肝リピドーシスは、絶食状態となり、タンパク質や炭水化物が摂取できなくなったあげくに、脂質代謝異常(中性脂肪の蓄積)が生じることで発症します。そのため、血液検査でも肝臓関係の数値やコレステロール、中性脂肪といった数値が異常を示すことがあります。

猫 注射

しかし、最終的な診断をするためには、肝臓の一部を切り取って検査(病理検査)する必要があります。もちろん、病理検査は全身麻酔による開腹手術が必要で、肝リピドーシスの猫にとっては検査自体が大きな負担になるため、通常は問診や血液検査、腹部エコー検査などで総合的に診断していきます。

脂肪肝「肝リピドーシス」の診断と治療について

肝リピドーシスが疑われる場合、あるいは診断された場合には、治療として、食欲がなくなった原因となる病気を探して治療することはもちろん、何よりも栄養摂取を優先して行います。つまりしっかりと「食べること」自体が肝リピドーシスの治療、予防にもなるのです。

ただ、猫の場合、食欲がない状態で無理やり食べさせることは難しいものです。どうしても栄養摂取が困難な場合には、猫の食道や胃にチューブを設置して、そこから流動食を流し込む「チューブフィーディング」と呼ばれる栄養摂取方法がとられることになります。

チューブの設置には全身麻酔が必要なのですが、肝リピドーシスの場合、全身麻酔のリスクよりも食事管理ができないリスクの方がはるかに高いため、摂食が難しい猫には積極的に実施されています。

チューブフィーディングは肝リピドーシスが完全に治癒するまで継続しますので、通常は数週間実施しますが、中には数カ月の間、チューブフィーディングが必要になることもあります。

猫 食事補助

脂肪肝「肝リピドーシス」の予防について

このように、肝リピドーシスは、長期間の治療を必要とし、中には命に危険が及ぶケースもある非常にやっかいな病気です。犬や人間では、肝リピドーシスの原因は様々ですが、猫の場合は、主に「食欲不振」によって発症してしまいます。もちろんごく稀に別の原因で発症することもありますが、1〜2日間の食欲不振が続くことで肝リピドーシスになってしまいますので、それを防ぐためには、「猫が食欲不振の場合には、なるべく早く治療を開始する」ことが大切です。

肝リピドーシスの場合、栄養の中でもタンパク質の摂取が非常に大切ですが、たまに食欲不振の猫にブドウ糖を飲ませる方がいらっしゃいます。肝リピドーシスにおいては、栄養摂取をするにも糖類よりもタンパク質の摂取が重要で、ブドウ糖摂取が逆に病気を重くしてしまうこともあり、注意が必要です。いずれにしても、猫の食欲がない時や黄疸が見られる際は、なるべく早く動物病院を受診されることをお勧めします。

まとめ

猫の肝リピドーシスは、1〜2日間、食欲不振が続くと発症します可能性があります。また治療には、食欲不振を引き起こす原因疾患の治療のほかに、十分なタンパク質を含む栄養摂取が必要になり、場合によっては食道や胃チューブを設置することもあります。さらに、治療自体は長期に及ぶこともありますし、重度の場合は命を落とす危険もあります。

肝リピドーシスにならないためにも、猫が食欲不振の場合には、なるべく早く診断・治療を受けるようにしてください。


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西原先生

協力:
森のいぬねこ病院
院長 西原克明 先生
http://animalclinic-prana.com/
http://morinoinuneko.com/nishihara/

東京農工大学腫瘍科第Ⅱ種研修医

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