いぬねこQ&A「犬のマダニ予防」

夏だけの予防では不十分?秋口にも犬を襲うダニの対策と予防

西原先生

犬が人間と生活する上で欠かせないのが「予防」です。予防は犬の病気を予防するだけでなく、犬から人間への感染を防ぐためにも必要なものです。中でもマダニ予防は、それらが媒介する病気が、犬にも人間にも深刻な影響をもたらす可能性があるので、ぜひとも予防を実施してあげたいところ。

そんなマダニ予防ですが、秋口になると、動物病院に来院される飼い主の方から、マダニに関しての相談を数多く受けるようになります。そこで今回は、秋口にいただく質問内容をQ&A形式でお伝えします。

Q.秋口になって涼しくなったので、マダニの予防はもう不要でしょうか?

A. いいえ。実は夏を過ぎて涼しくなってくるころが、マダニ寄生のピークです。

実はマダニの寄生は二峰性といって、一年のうちに二回、寄生のピークがあります。一つは梅雨時期から初夏にかけて、そしてもう一つは暑さが和らぐ秋口です。

梅雨時期に寄生するマダニは、血液を吸うと小豆大くらいの大きさになりますので、人間もすぐ見つけることができます。一方、秋口のマダニはゴマ粒よりも小さい幼ダニによる寄生が多いため、パッと見てなかなか気づかないことも多いです。

犬がなんだか手足を気にしている、痒がっている、そんな仕草が見られ、よくよく皮膚をチェックしてみると、細かなダニがウヨウヨとしていた、というようなこともあります。

犬 マダニ

実はそれが秋口のマダニ寄生なのです。もちろん、手足以外にも顔まわりや耳などに寄生することもありますので、お散歩から戻った後は、よくよく注意してマダニをチェックしてあげてください。

また、マダニは草むらでの寄生が多いのですが、近年は住宅街の街路樹などでも寄生するケースが増えています。よく「うちの子は草むらに入らないので、マダニはつかないよ」とおっしゃる飼い主の方もいるのですが、十分に注意する必要があります。

Q. 予防薬を長く使うのは不安だし、投薬を嫌がるのですが・・・

A. マダニの寄生を予防するには、予防薬を使っていただくのが非常に効果的だと考えています。

確かに予防薬といえどお薬ですので、中には副作用が出てしまう犬もわずかながらいます。しかし、今の日本では全国各地でマダニに寄生するリスクがあり、そのリスクは予防薬の副作用リスクよりもはるかに高いものと考えます。ですので、犬と人間の健康を考えるのであれば、最低でも秋口まで予防薬をしっかり使ってあげることが、より安全な方法だと思います。

予防薬には動物病院で処方される処方薬以外にも、ペットショップやホームセンターなどで購入できるOTC薬(over the counter:市販薬)があるのですが、これらOTC薬は、その予防効果や犬への安全性が、処方薬ほどは十分に確認されていません。ですので、予防薬は動物病院で処方されるものを使用されることを強くお勧めします。

また、犬の中にはマダニ予防薬の投与をすごく嫌がる子もいます。そういった犬には、投与方法を変えてあげると良いでしょう。今現在、マダニ予防薬には、首の後ろに液体を垂らす滴下タイプと、犬が好む味付けがされた飲ませるタイプがあります。

各々にはマダニ予防だけでなく、フィラリア予防や内部寄生虫予防(お腹の虫下し)も一緒に予防できるタイプや、飲み薬タイプには、一回の投薬で3ヶ月もの間、効果が持続するものもあります。今の予防薬を嫌がる犬には、別のタイプのものを利用してあげるとうまくいくことがほとんどですので、かかりつけの獣医師に相談してみてください。

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Q. 予防薬以外にもマダニを防ぐために有効なものはありますか?

A. 現実的には予防薬を使っていただくことが、最も予防効果が高いものと考えています。

もちろん、犬を一切外に出さず、マダニとの接触を避けることも可能ですが、現実的ではありません。お散歩をする、外の空気に触れるというのは、犬の運動面でのメリットだけでなく、外のいろんな匂いを嗅ぐことで嗅覚を刺激し、脳の活性化にもつながるため、健康維持に非常に重要なものです。ですので、外に一切出さないでいるのは、マダニ予防の面では良いのですが、犬の健康を全体的に考えた場合は良い方法とは言えないのです。

また、その他にも、完全に寄生を防ぐことはできませんが、草むらを避ける、散歩の後には入念にブラッシングをする、といったこともある程度リスクを抑えてくれるでしょう。ご自宅の庭に出す場合には、芝生や雑草のお手入れをしておくことも予防につながります(ただし殺虫剤系のものは避けてください)。

洋服を着せてお散歩させるとマダニの寄生を抑えられるという意見もありますが、マダニの多くは、耳や顔周り、手足など洋服に覆われない場所に寄生しますので、あまり有効な手段とは言えないでしょう。

結局のところ、予防薬を用いた対策が最も安全で、最も有効な方法です。かといって、他のものが無駄ということではありません。いろんな対策方法をうまく組み合わせて、より効果の高い予防を行ってあげてください。

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まとめ

秋口のマダニは非常に小さくて発見が遅れることも多いため、予防対策が必要です。また、マダニは単に寄生するだけでなく、バベシア症(マダニが媒介するバベシアという原虫によって発症する病気)など犬に重い病気を引き起こす可能性があり、さらには重症熱性血小板減少症候群(SFTS)(マダニに咬まれることによって発症する感染症)などの人へ病気をもたらすリスクもあるため、そういった面からも予防は非常に大切です。

涼しくなったからといって、決して油断せず、犬のマダニ予防をしっかりと実施してあげてください。


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西原先生

協力:
森のいぬねこ病院
院長 西原克明 先生
http://animalclinic-prana.com/
http://morinoinuneko.com/nishihara/

東京農工大学腫瘍科第Ⅱ種研修医

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